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図書館司書は食べていけない?知っておきたい事実と戦略!

「図書館司書は食べていけないって本当?」

司書資格取得を目指す方にとって、こんな疑問は進路を左右する深刻な不安になるでしょう。

知的で文化的な職業でありながら、図書館司書はネットで「夢のない職業」などと揶揄されがちです。

資格を取っても、本当に司書の仕事だけで生活していくことはできないのでしょうか?

そこで本記事では

● 図書館司書の給与と雇用をめぐる現場の実態

● 食べていける司書になるための戦略

について詳しく解説していきます。

 

目次

図書館司書が「食べていけない」と言われる2つの理由

司書資格を持っているのに収入が不安定なのは、公立図書館の運営体制と財政の構造的な問題に原因があります。

この章では、司書の給与水準が低い2つの理由を紹介します。

指定管理者制度の普及と低賃金化

近年、公立図書館の運営を民間企業に委託する「指定管理者制度」を採用する自治体が増えています。

指定管理者制度の目的の一つはコスト削減であり、専門職である司書の業務の質よりも人件費の抑制が優先される傾向が強くなりました。

その結果、正規職員として雇用される司書の採用は減少し、代わりに契約社員やパートタイマーなどが業務の大半を担う構造が定着しています。

賃金は正職員に比べて低く設定されている上、契約期間が定められており、長期的なキャリアや昇給が見込みにくい状況に直面しています。

公的運営による収益性の欠如

そもそも図書館は公共サービスであり、書物の貸し出しから直接的な収益を得ることを目的としておらず、運営費は税金で賄われています。

そのような環境においては人件費の削減が最優先課題となりがちで、とくに公立図書館では、司書を正職員として多数雇用するための予算確保が難しいのが現状です。

これらが「図書館司書は食べていけない」と言われるおもな理由です。

「それでも働き続ける人」がいる理由

図書館司書の仕事は収入面で非常に不安定です。

それでも「これが自分の天職だ」「ここが自分の居場所だ」と情熱を傾け、働き続ける人がいるのは、やりがいが収入面での不満を上回っているからです。

司書の仕事は「本が好き」「図書館が好き」という人にとっては、魅力と充足感に満ちた理想的な職場と言えます。

さらに司書は、子供から高齢者まで、あらゆる世代の知的活動を支える、社会的に意義のある職業です。

司書の知識とスキルで利用者の疑問や欲求を解決に導いたり「ありがとう」と感謝されたりする機会が、モチベーション維持につながります。

司書の仕事は「自分の好きなことを仕事にして生きている」という揺るぎない満足感から、金銭的価値を上回る財産を得られる職業なのです。

「食べていける司書」と「苦しい司書」の違い

司書として食べていけるかどうかは、司書の資格を持っているかどうかで決まるわけではありません。

ポイントは雇用形態、つまり正規職員か非正規職員かという点にあります。

 食べていける司書(正規職員・無期雇用)苦しい司書(非正規職員・有期雇用)
雇用形態公務員(地方自治体)大学の専任職員専門図書館の正社員 など 公立図書館の契約職員派遣社員パートタイムアルバイト
年収400~600万円昇給、賞与、退職金も見込める年収200~300万円パート・アルバイトの場合はそれ以下昇給、賞与、退職金はなしが多い
将来性定期的な昇給や賞与が保証され、長期的なキャリア設計が可能昇給はほとんど見込めず、契約満了による雇止めのリスクがありキャリアが不安定

「食べていける司書」になるには司書資格を足がかりに、安定した「正規ポスト」を勝ち取ることが重要です。

図書館司書として食べていくためのキャリア戦略3選

図書館司書は資格を取得しただけでは、すぐに「食べていける」状態にはなりません。

司書の資格取得はスタートラインであり、まずは非正規雇用から始めるのが現状です。

しかし、そこに甘んじてしまうと一生「食べていけない司書」のまま終わってしまいます。

重要なのは非正規の期間を修行と捉え、次の正規ポストへステップアップするための戦略を練ることです。

この章では狭き門を突破し「食べていける司書」になるための具体的なキャリア戦略を解説していきます。

戦略1:公務員試験を突破する

「食べていける司書」への最も安定したルートは、公立図書館で働く地方公務員になることです。

しかし公立図書館はそもそもの募集が少なく、採用枠もごくわずかです。

自治体によっては 倍率10~30倍 に達することも珍しくありません。

この高い競争率を突破するには、自治体の公務員採用試験に合格することが必須条件です。

ここがまさに「食べていけない司書」と「食べていける司書」を分ける壁であり、多くの人がつまずくポイントでしょう。

難易度は高いですが、試験に合格できれば公立図書館員として長期的に安定したキャリアを築けます。

まずは働きたい自治体の募集状況をこまめに確認すること、そしていつでもチャンスをものにできるよう試験対策を始めることが現実的な第一歩です。

戦略2: 司書資格に+αで専門性を高める

非正規の司書が膨大にいる中で競争を勝ち抜くには「+α」となる専門性が付加価値になります。

以下は図書館でとくにニーズの高いスキル領域の例です。

● 高度なIT・デジタルスキル:

現代の図書館は紙媒体の管理だけでなく、デジタル化・データベースの運用が不可欠となっています。

○ データベース(SQLなど)の基礎知識

○ ウェブサイトの管理・デザイン能力(HTML/CSS)

○ 電子資料の導入・管理経験 など

● ビジネス・広報力:

図書館を機能させるためには、サービスの魅力を発信し予算を勝ち取るための交渉や提案も重要な業務です。

○ プレゼンテーション能力

○ マーケティングの知識

○ SNS運用やイベント企画

○ 行政文書や報告書作成能力 など

● 特定の分野に対する専門性:

司書資格に加え、特定の分野への知識は替えの効かない存在となります。

○ 科学技術分野

○ 法律

○ 医学・看護

○ 歴史・文化

○ アート・デザイン など

専門性を身につけることは大きな武器になりますが、公務員試験の勉強と両立させるのは容易ではありません。

まずは大学で専攻したことや前職の経験などを踏まえ、自分の得意分野の中から探してみましょう。

戦略3: 高待遇を狙える勤務先を選ぶ

王道ルートである公立図書館の正規職員は競争が激しいため、並行して高待遇のポストを探すのも現実的です。

狙い目はおもに以下の3種類の勤務先です。

● 大学図書館

● 専門図書館

● 企業内図書館

これらは専門性が求められる職場で、給与水準が高い傾向にあります。

いきなりの正規採用は見込めませんが、非常勤や契約職での募集を見つけましょう。

薄給で昇給のない公立図書館の非正規雇用とは違い、経験を積めば将来的にキャリアアップが望めます。

図書館司書の資格を取得しても、それだけで食べていくのは容易ではありません。

厳しい現実に直面し、好きな仕事でありながらも、道半ばで挫折してしまう人も少なくないでしょう。

しかし、食べていけるかどうかは戦略次第です。

適切な戦略さえあれば、図書館司書という天職をキャリアとして確立できます。

「食べていける司書」になるために、司書資格取得の先にゴールを定め、戦略的にスキルを積み上げていきましょう。

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